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iFixit、Retinaモデルの「MacBook Pro」を分解--カスタマイズの余地は皆無

Appleは「Worldwide Developers Conference(WWDC)2012」の基調講演で次世代の「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」を発表し、即日販売を開始した。これを受けてiFixitのスタッフが早くも分解作業に乗り出し、この新しいコンピュータの内部が実際にどのような仕組みになっているのかを調べた。このMacBook Proには便利な新機能がいくつか搭載されているものの、Appleが採用したこの製品へのアプローチは、ユーザーが自ら手を加えることのできる余地を大幅に狭めるもので、これまでAppleが世に送り出してきたMacBook Proの中でも最も修理容易性が低い製品となっている。

 新しいMacBook Proで歓迎すべき機能としては、もちろん高品質のディスプレイが挙げられるが、それ以外にもAppleはいくつかのすばらしい機能を追加している。その1つは、ブレードが非対称に設置されたファンの採用で、これが周波数と振動を分散させるため全体で見た時に騒音が減少するという。さらに、マシン内部のほぼ半分をバッテリが占めており、バッテリ寿命を可能な限り長くしている。また、重さは4.46ポンド(約2.02kg)、厚さはわずか0.71インチ(1.8cm)と、軽くて持ち運びやすい。

http://japan.cnet.com/storage/2012/06/14/8864327f018e155e9b75b56e7b01b5a2/RetinaMacBookTeardown_270x203.png

1. 「Pentalobe」ねじの多用
 最初に取り上げるべきことは、AppleがPentalobeねじをはるかに広範に採用したことだ。このねじを扱うには、専用のビットが必要になる。

2. バッテリは交換不能
 第2に、以前のMacBook Pro 17インチモデルでさえ、バッテリラッチはなかったものの、筐体を開ければバッテリを取り外すことはできた。しかし、新しいMacBook Proではバッテリが本体に接着剤で固定されており、iFixitもバッテリの損傷を恐れて無理やり取り出すことをあきらめたほどだ。さらにバッテリには、バッテリ交換はApple正規サービスプロバイダに依頼しなければならないとする内容の警告ラベルが貼られている。

3. 業界標準の2.5インチハードドライブベイは不採用
 長い間、ノートブックコンピュータでは業界標準の2.5インチドライブベイが採用されており、ハードディスクはもちろん、比較的新しいソリッドステートドライブ(SSD)さえもこのベイに取り付けられてきた。しかし、「MacBook Air」でこの方式をやめて独自のSSDドーターカードを採用したAppleは、新しいMacBook Proでもこのアプローチを踏襲した。したがって今のところ、システム上のハードドライブをアップグレードすることはできない。ただし、これまでのMacBook Airでも前例があるように、Other World Computingなどのサードパーティーが独自のアップグレード製品を提供する可能性はある。

4. メモリ容量は追加不可
 新しいMacBook Proでもう1つ、特に現状でより安価なマシンを必要としているパワーユーザーにとって残念な点は、メモリ(RAM)容量を後で追加する手段が全くないことだ。MacBook Airと同様に、新しいシステム上のRAMはマザーボードにはんだ付けされており、拡張スロットが全くない。これまでの一般的なお勧めの手段としては、Appleの高価なメモリ増量オプションを避け、最低限の容量で購入して後でメモリを追加する方法があったが、これはもはや不可能になった。

5. ディスプレイ内部へはアクセス不可
 これまでのモデルではディスプレイベゼルが分解可能で、液晶画面、ディスプレイガラス、さらには「iSight」カメラのような各部品にアクセスできたが、新しいMacBook Proのディスプレイベゼルは(接着剤で貼り付けられたかのように)完全に一体化している。そのため、内部の部品のいずれかに不調があった場合、ディスプレイを丸ごと交換するしかない。これによりディスプレイ周りの部品の修理は簡素化されるが、全体で見た修理費用の増加にもつながる。

 Appleは新しいMacBook Proについてさまざまな技術的進歩を宣伝しているが、ここまで挙げてきた変更事項により、iFixitは新モデルの修理容易性スコアを10点満点中1点とし、基本的に新しいMacBook Proの筐体を開ける意味はないとしている。要するに、何か不調が生じた場合(たとえRAMモジュール不良のような単純な問題でも)、ユーザーはAppleを通じてマザーボード、ディスプレイもしくは筐体のいずれかを交換しなくてはならない。率直に言って、Appleにとってはマシンを丸ごと交換してしまうことが最も簡単な方法なのかもしれない。
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