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単なる誤報?結局のところ、ドコモiPhoneは出るのか、出ないのか

12月1日、経済誌『日経ビジネス』のオンライン版(NBO)が「NTTドコモが来年夏にiPhoneを発売」とスクープした。現行の4Sからニューモデルに切り替わるのを機に、国内主要3キャリアすべてが同機を扱うことになるというのだ。

 NBOは日本経済新聞社系で、報道の信頼度が高い。数ヵ月前にも、KDDI(au)からのiPhone発売をすっぱ抜いて的中させた実績がある。それだけにこの記事は瞬(またた)く間に各媒体で引用され、さも決定事項であるかのように報じられた。

 ところが当のドコモは、その日のうちに広報を通じて「iPhone取り扱いについてアップルと基本合意した事実はないし、現時点においてアップルと具体的交渉をしている事実もない」とコメント。NBOの報道を真っ向から否定したのである。

 果たして、スクープは事実なのか? その真偽のほどと、もしドコモからもiPhoneが発売される場合は何が期待できそうなのかを専門家に聞いた。

「裏取り取材をしたところ、ドコモの幹部が11月にアメリカへ渡った事実はないし、逆にアップル幹部が交渉のため来日した事実もありません。報道の信憑性はかなり低いと思います」

 こう断言するのはジャーナリストの石川温氏だ。

「au報道のときは、実際にKDDIとアップルの間ですでに交渉が行なわれていました。だからこそNBOのスクープが出た直後、記事について尋ねられたKDDIの田中孝司社長は『ノーコメント』と答えるしかなかったんです。しかし今回は、ドコモ側がはっきりと報道を否定している。もし、交渉の事実があるなら、ユーザーの反応も考慮に入れてauと同じくノーコメントを貫(つらぬ)くはずですから」(石川氏)

 つまり、今回のスクープは、どうやらNBOの勇み足であるらしいのだ。ただ、だからといってドコモがないというわけではない、というのだから話はややこしい。現時点では両社間で交渉の事実がなくても、今後の急展開もあり得るからだ。

 そのカギを握るのが、次期「iPhone5」からではないかと噂されている「LTE」への対応だ。LTEとは、今の世界標準の3Gに置き換わるとされる次世代の高速・大容量携帯通信規格。日本では現在、ドコモのみが「Xi(クロッシィ)」の名でサービスを始めている。

 携帯電話ライターの佐野正弘氏によれば、ドコモがXi普及戦略を進める上で、iPhoneは無視できない存在なのだという。

「現行の3G回線が混雑しているのはキャリア最大手のドコモも同様で、なるべく多くのユーザーを新回線に移行させたい。もしLTEに対応したiPhoneが発表されれば、Xi普及の起爆剤となることは明らかですから、それはドコモにとって喉(のど)から手が出るほど欲しい端末のはず」(佐野氏)

 そして、もしLTE対応のiPhoneをドコモが販売するとなると、ソフトバンクモバイルやauが扱う同機にはない機能が与えられるかもしれないのだ。

「回線の容量やシステムの関係からソフトバンク版やau版では、同機をモバイルWi-Fiルーターとして使えるテザリング機能が封印されています。しかし、LTEに対応したドコモ版iPhoneなら高速、大容量のXi回線を使えるので、他国同様にテザリング解禁となる可能性は十分にあります」(佐野氏)

 テザリングができれば、iPhone1台でPCやプリンターやゲーム機と無線LAN接続できるわけだから、自宅にインターネット回線を引き込む必要はなくなる。iPhone自体がつながりやすく、通信も速くなる上、自宅のインターネット回線使用料金を浮かせることができる。

 となると、アップルがLTE対応の新型iPhoneを発表し、ドコモが同機の取り扱いを始めるという流れを期待しないわけにはいかない。ただ、そうそう事がうまく進まない大人の事情というやつがあるようで……。

「どうやらアップルはiPhone取り扱い契約を結ぶ見返りとして、ドコモに端末販売数や通信料金設定などで相当厳しい条件を提示しているらしいんです。それはドコモとして、とうていのめるような内容ではなく、だからこそ両社は具体的交渉に入れないでいるようですね」(前出・石川氏)

 ドコモさん! ここはひとつ首を長くして待ちわびる日本のユーザーのため“損して得取る”精神でiPhone導入の決断を!
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